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執筆者の写真一宇ichiu

不思議な体験➀

山での不思議な体験。

25年ほど前、同じ年の従兄弟が肺がんで亡くなった時の事です。私は余命半年と宣告を受けた従兄弟の病院に、毎日のように通い気功をしました。気功をしている時は気持ちよさそうにしているのですが、やめると苦しそうにしていることの繰り返しでした。そして、宣告通りに半年後、従兄弟は亡くなりました。私は完全に自信をなくしていました。

気功だけでは人は救えない。心の部分をどうにかしなければ救うことはできない。心の部分を解消するには、前世までしなければいけない。しかし、自分にはその能力はない。無力感にさいなまれていきました。 そこから、以前から行っていた近所の山に、毎日のように行くようになりました。 街の中心部の近くにある小高い山です。山と言うよりも整備された散策道のようなものです。雨さえ降らなければ、お気に入りの本と飲み物を持ってそこに通いました。 瞑想をしたり、本を読んだり、気功をしたり。

そこから二年間、様々な不思議な出来事と、気づきを得ることができたのです。 ある日、いつものベンチの前にある直径50センチほどの木に、抱きついたときのことです。左耳を木に押しつけ、木の中の音を感じ取っていました。水を吸い上げる音や、葉っぱが擦れ合う音が「ゴー」と聞こえてきます。その音を聞いているうちに「あー生きてるんだな。すごいなぁ」と思った瞬間、スコンと木の中に入ってしまったのです。もちろん実際に入ったわけではありません。木のエネルギーと一体になったと言ったほうがいいかもしれません。純粋で清らかなエネルギーに包まれ、体の感覚がなくなり、一体になったのです。漆黒の空間に光の泡が湧きいでて、意識がその中に広がって溶けていく感覚。はじめての感覚です。そのエネルギーの清らかさと、懐かしさに涙があふれました。何が懐かしいのかわかりませんが、懐かしくて懐かしくてたまらないのです。  気づいたら、木に抱き着いたまま、大号泣をしていました。嗚咽が止まりません。おそらく3分ぐらいだったと思いますが、その間に大号泣している私の後を数人の人が通り過ぎたのを感じましたが、その時の私にはそれどころではありませんでした。今考えるととても恥ずかしく思いますが…。大の大人が、木に抱きついて大号泣をしてるのですからね。  しかし、その時に私の中の何かのスイッチが入ったようです。その日からさらに不思議な体験が起きるようになりました。

続く


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